9月初旬、今年2回目の夏のワークショップを開催しました。
去年も参加された方が、1年前にお貸ししていた織りの木枠を持って再び参加してくださったのです。
木枠には昨年のままの織りが残っていて、「あの時間の続き」が1年越しに戻ってきたようで、とても印象的でした。
「日々の仕事や生活の中では、自分のための時間がなかなか取れません。
でも、この1年間ずっと机の上に真綿を置いていました。
パソコンで仕事をする合間に真綿に触れると、ふっと心が落ち着くんです。」
そんな言葉を聞いて、私たちにとっても真綿が「暮らしに寄り添う存在」であることを改めて実感しました。
この方は今回、お蚕さんの蛹出しからではなく、すぐに織りからスタート。
昨年植物で染めた真綿をのんびりと紡ぎ、織り、そこにいくつものアイディアを重ねて……。
最後は風になびく素敵な壁掛けが完成しました。
私たちのワークショップは、山梨の山間にある自然豊かな空間で行っています。
日常を離れ、真綿に触れながらそっと自分に向き合う時間。
そんな特別なひとときをお届けできればと、いつも思っています。
布を壁に飾る魅力
- 光と陰影: 絹特有の光沢が日差しや照明をやわらかく反射し、時間帯によって違う表情を見せます。
- 季節感: 真綿糸のふんわり感は、冬には温かみを、夏には涼やかさを感じさせます。
- 質感の豊かさ: 絵画やポスターでは得られない「布の存在感」が空間を彩ります。
制作のポイント
真綿糸は繊維が長いため、太さや撚りの加減で大きく表情が変わります。
今回の壁掛けでは、あえて不均一な糸を活かし、自然なリズムが生まれるように設計しました。
壁掛けとして仕立てる際には、木枠や棒に通すことで安定して飾ることができます。
暮らしに取り入れる
布を壁に飾ることは、日本の古くからの生活文化にもつながります。
真綿糸の壁掛けは、暮らしに自然素材の温もりを加えるアートと実用の中間のような存在です。
日々の空間に、自然の息づかいを添えるきっかけになればと思います。
